オーディオ回路では抵抗も単なる電流制限部品ではなく、音質に影響を与える重要な要素です。
今回は、カーボン、金属皮膜、セメントなど主要抵抗の特徴と、ヘッドホンアンプ回路での使い分けを図解付きで解説します。
1. オーディオ回路で抵抗の役割
ヘッドホンアンプでは抵抗は以下の用途に分かれます:
- 信号経路(入力段、増幅段、出力段)
- ゲイン設定(オペアンプのフィードバック抵抗など)
- 負荷抵抗・電流制限(出力段、パワー段)
抵抗の種類によって音質が変化するので、用途に応じて使い分けるのがポイントです。
2. 主要抵抗と音質傾向
種類 | 特徴 | 音質傾向 | おすすめ用途 |
---|---|---|---|
カーボンコンポジット | 安価、ノイズや温度特性は不安定 | ウォーム、ざらつき感 | ゲイン設定、真空管アンプ |
炭素皮膜 | 精度や温度特性は安定 | 柔らかい暖かみ | 信号ライン、軽い色付け |
金属皮膜 | 高精度、低ノイズ | 透明感、忠実 | 入力段・出力段、信号経路 |
メタルオキサイド | 高耐圧・温度安定 | 力感、高域穏やか | パワーアンプ、電源部 |
ワイヤーワウンド | 高耐電力、インダクタンスあり | 低域の厚み、インダクタンス注意 | 負荷抵抗、分流抵抗 |
薄膜 | 高精度、低ノイズ | 透明感、忠実 | 信号段 |
厚膜 | 安価、ややノイズ | 暖かみ | 汎用・パワー段 |
セメント | 高耐圧・高電力 | 力感・重厚感 | パワーアンプ負荷、分流抵抗 |
3. ヘッドホンアンプ回路例(図解)
USB 5V / 乾電池1本
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│ 電源部 │
+────────+
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│入力段 │← 金属皮膜 / 薄膜
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│増幅段 │← フィードバック抵抗: カーボンや金属皮膜
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┌───────┐
│出力段 │← 金属皮膜 / メタルオキサイド
└───────┘
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ヘッドホン
- 入力段:信号忠実性重視 → 金属皮膜/薄膜
- 増幅段:ゲイン設定、軽い色付け → カーボンコンポジットや金属皮膜
- 出力段:低インピーダンス駆動、安定性重視 → 金属皮膜/メタルオキサイド
4. 音質のチューニング例
- 高域をクリアにしたい → 金属皮膜や薄膜を優先
- 温かみや柔らかさを出したい → カーボン系抵抗を増幅段に配置
- 力感・低域の厚み → 出力段や負荷抵抗にメタルオキサイド/ワイヤーワウンド
まとめ
- 抵抗の種類で音質は微妙に変わる
- 信号経路は 金属皮膜/薄膜 が基本
- 色付けや柔らかさを求める場合は カーボン系や厚膜 を活用
- 高電力部は セメント・ワイヤーワウンド・メタルオキサイド で安定性重視
- 回路内の配置と組み合わせ次第で、ヘッドホンアンプの音質をコントロール可能
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