将来のお金、なんとなく不安なだけになっていませんか|固定費から逆算するシンプルライフプラン表の作り方を電気屋が解説

お得・株主優待

「家計簿はつけている。でも、この先の大きな出費——子供の進学、車の買い替え、住宅の修繕——が来たときに家計が耐えられるのか、正直よくわからない」。そんな感覚に心当たりはないでしょうか。筆者(でんきや慎ちゃん)は家電量販店の店頭で家計の相談めいた雑談を聞くことが多いのですが、「毎月の支出は把握しているのに、5年後・10年後にいくら必要になるかは考えたことがない」という人がとても多いです。

この記事では、日本FP協会・文部科学省・総務省の公式データをもとに、固定費(電気代・通信費・住居費など、manmaruで見直しを扱ってきた項目)を起点にした「シンプルなライフプラン表」の作り方を整理します。前回の資産・負債の見える化スプレッドシートが「今の家計のスナップショット」だとすれば、今回のライフプラン表は「これから何年かけて、どこにお金がかかるか」を時系列で並べるための表です。あらかじめお断りしておくと、本記事は家計管理の一次情報を整理するものであり、特定の金融商品の推奨や運用利回りの予測、投資判断のアドバイスは一切行いません。

「なんとなく不安」の正体は、見えていないこと

将来のお金の不安は、多くの場合「金額がわからない」ことよりも「いつ・何に・いくらかかるかが時系列で見えていない」ことから生まれます。資産・負債の見える化は「今」のスナップショットを撮る作業でしたが、それだけでは「3年後に車検と子供の入学が重なる」といった将来のかたまりまでは見えてきません。家計の不安を減らす近道は、未来を正確に当てることではなく、大きな支出イベントをあらかじめ時系列に並べておき、「見えている状態」を作ることです。

ライフプラン表とは何か|まずは公式ツールの位置づけを知る

日本FP協会は「ライフプラン診断」という無料の公式ツールを公開しており、12個の質問に答えるだけで、収入・支出条件をもとにしたおおまかな将来の家計(キャッシュフロー表)の目安を診断できます。同協会はこの診断結果について「おおよその収入と支出条件をもとに試算されたライフプラン診断結果(キャッシュフロー表)はあくまでも目安です」と明記しており、精緻な予測ではなく「大まかな見取り図」として使うことを前提としています(日本FP協会「ライフプラン診断」より)。本記事で紹介する手作りの表も同じ考え方で、収入の将来予測のような不確実性の高い項目には踏み込まず、「支出のかたまりがいつ来るか」を並べるだけのシンプルな版を作ります。

固定費から逆算する3ステップ

ステップ1:今の固定費を年額に直して書き出す

電気代・通信費・住居費・サブスクなど、毎月払っている固定費を1年分の金額に直して合計します。すでにサブスクの棚卸しや銀行口座×クレカの見直しを済ませている場合は、その結果をそのまま転記するだけで済みます。筆者が別記事でまとめた固定費を年間50万円削減した実例と手順のように、固定費は一度見直すと効果が数年単位で続く支出でもあるため、ライフプラン表の「土台」として最初に置くのに向いています。

ステップ2:大きなライフイベントを時系列で並べる

次に、毎月の固定費とは別枠で、数年に一度まとまってかかる支出を「何年後」の欄に書き込みます。代表的なものは次のとおりです。

  • 子供の進学・入学(幼稚園・小学校・中学校・高校の入学年)
  • 車の車検・買い替え時期
  • 住宅の修繕(外壁・給湯器など、10年前後が目安とされる項目)
  • 家電の買い替え時期(冷蔵庫・エアコンなど耐用年数が近い家電)
  • 火災保険・自動車保険などの更新月

このうち教育費については、文部科学省の公的統計に具体的な目安が示されています。「令和5年度子供の学習費調査」によると、保護者が1年間に子供1人あたり支出した学習費総額(学校教育費・給食費・学校外活動費の合計)は、幼稚園で公立184,646円・私立347,338円、小学校で公立366,599円・私立1,741,516円、中学校で公立542,450円・私立1,560,359円、高等学校(全日制)で公立596,954円・私立1,179,261円となっています(文部科学省「令和5年度子供の学習費調査結果のポイント」より)。同調査では、幼稚園3歳から高校3年までの15年間の学習費総額の目安も示されており、全て公立に通った場合で約614万円、全て私立の場合で約1,969万円と、進路の組み合わせによって大きな差が出ることが確認できます。

15年間(幼稚園〜高校)の進路パターン 学習費総額の目安
ケース1:すべて公立 約614万円
ケース2:幼稚園のみ私立、あとは公立 約665万円
ケース3:幼稚園・高校が私立、小中は公立 約838万円
ケース4:すべて私立 約1,969万円

細かい金額を正確に当てる必要はありません。「小学校入学の年に、教育費がこれくらい増える」という”かたまり”の存在を、表の中にあらかじめ置いておくことが目的です。

ステップ3:今の生活費の水準を公的データと照らしてみる

自分の家計が世の中の平均と比べてどのくらいの水準かを知っておくと、将来の支出イベントに備える際の目安が立てやすくなります。総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕」によると、2024年(令和6年)の二人以上の世帯における1か月あたりの消費支出は平均300,243円で、内訳は食料89,936円・住居18,088円・光熱水道23,111円・交通通信41,731円・教育11,705円・教養娯楽30,240円などとなっています(総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」より)。これは全国平均の数字であり、地域や世帯構成によって大きく変わるため、そのまま自分の家計に当てはめる必要はありません。あくまで「今の自分の固定費・生活費が、世の中の水準からどれくらい離れているか」を確認する物差しとして使うのがおすすめです。

表の作り方|スプレッドシートに3列を作るだけ

資産・負債の見える化と同じく、Googleスプレッドシートで十分作れます。A列に「時期(西暦・子供の年齢など)」、B列に「予定しているライフイベント」、C列に「支出目安(わかる範囲でOK)」を並べ、行を時系列に並べるだけです。ステップ1で書き出した固定費の年額を一番上の行に置いておくと、「毎年必ずかかる金額」と「その年だけ増える金額」が同じ表の中で見比べられるようになります。金額が正確にわからない項目は、空欄のままにするか「?」を入れておいて構いません。埋まっていない欄があること自体が、「今後調べるべきこと」を可視化してくれます。

電気屋の本音|この表は「当てる」ためのものではない

正直に言うと、将来の物価・金利・自分の収入がどう変わるかを正確に当てることは、専門家であっても難しいことです。このライフプラン表の目的は、将来を精密に予測することではなく、「大きな支出がいつ来そうか」をあらかじめ並べておくことで、突然の出費に慌てずに済む状態を作ることにあります。特定の金融商品を勧めたり、「これだけ積み立てれば足りる」といった運用の見込みを提示したりするものではありません。老後資金や年金についてより詳しく調べたい場合は、公的年金の受け取り時期に関する制度を解説した年金はいつから受け取るとお得?繰り上げ・繰り下げの損益分岐点を解説もあわせて参考にしてください(こちらも投資商品の話ではなく、公的年金制度の解説記事です)。

よくある疑問FAQ

Q. ライフプラン表はいつ作ればいい?

思い立ったタイミングで一度作ってみるのが一番です。完璧な表を最初から目指す必要はなく、「わかる範囲だけ埋めた粗い表」からで十分です。子供の進学や住宅購入など、大きなライフイベントの前後に見直すと精度が上がっていきます。

Q. Excelとスプレッドシート、どちらがいいですか?

どちらでも構いません。前回の資産見える化シートと同じツールで管理すると、2つの表を見比べやすくなるためおすすめです。

Q. 収入の将来予測(昇給や転職)も書いたほうがいいですか?

書いても構いませんが、収入の予測は支出の予測以上に不確実性が高い項目です。本記事の主眼はあくまで「支出のかたまりを時系列で把握すること」なので、収入欄は「わかる範囲」にとどめ、無理に精緻な予測を作り込まないことをおすすめします。

Q. 表を作ったら、次に何をすればいいですか?

まずは表の中の固定費部分を見直せないか確認するのが取り組みやすい一歩です。サブスクの棚卸しや銀行口座×クレカの組み合わせなど、manmaruで扱ってきた固定費の見直し記事が具体的な手順の参考になります。

Q. 日本FP協会の無料診断ツールと、この手作り表はどう使い分ければいいですか?

日本FP協会の診断ツールは、質問に答えるだけで将来の家計を試算してくれる手軽さが利点です。一方、本記事の手作り表は「自分が把握している具体的なライフイベントと固定費」をそのまま並べられる自由度が利点です。まず手作り表で大まかな全体像をつかみ、より精密な試算をしたくなったタイミングで公式の診断ツールを使う、という順番がおすすめです。

まとめ

将来のお金の不安の多くは、金額そのものよりも「いつ・何に・いくらかかるかが見えていないこと」から生まれます。①今の固定費を年額に直して書き出す、②教育費や車検・住宅修繕といった大きなライフイベントを時系列で並べる、③総務省の平均データと照らして今の生活費水準を確認する、の3ステップだけで、漠然とした不安のかなりの部分は「見える形」に変えられます。表を作ったあとは、固定費の見直し記事や資産の見える化シートと組み合わせて、定期的に更新していくサイクルを作ってみてください。

※本記事は家計管理の一次情報を整理したものであり、特定の金融商品の推奨や運用利回りの予測、投資判断の助言を行うものではありません。将来設計や資産運用に関する具体的な判断は、公的機関の情報や専門家への相談をもとに、ご自身の責任で行ってください。

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