「家計簿アプリは入れている。でも、家全体でいくら貯金があって、いくら借金(住宅ローンやカードの残債)が残っているのか、パッと答えられない」——そんな状態に心当たりはないでしょうか。筆者(でんきや慎ちゃん)は家電量販店で日々お客様の家計相談めいた雑談を聞くことが多いのですが、「毎月の支出は把握しているのに、資産の全体像は見えていない」という人は驚くほど多いです。
この記事では、金融庁の公式ガイドとGoogleスプレッドシートの公式ヘルプをもとに、資産・負債を1枚で見える化する無料スプレッドシートの作り方を、家電選びと同じ「まず全体を把握してから判断する」目線で整理します。なお本記事は家計の見える化・固定費の把握が目的であり、個別の金融商品の推奨や利回りの予測は行いません。
家計簿アプリだけでは「資産の全体像」は見えない
家計簿アプリは「今月いくら使ったか」という支出の記録には強い一方、銀行口座・証券口座・カードローン・住宅ローンなど複数の場所に分かれているお金を1枚にまとめて見せてくれるとは限りません。連携できる口座数がプランによって制限されていたり、住宅ローンの残高までは自動反映されなかったりするケースもあります。
金融庁が公開している「基礎から学べる金融ガイド」でも、家計管理の第一歩として「まず、家計の現状を把握することから始めましょう。『毎月の収入は?』『毎月の食費はどれくらいかかっている?』『光熱費は?』『交際費は?』というように項目ごとに把握した上で、収支のバランスが取れているかどうかをチェックしてみましょう」と説明されています(金融庁「基礎から学べる金融ガイド」より)。これは毎月の収支の話ですが、同じ考え方は「資産と負債」にもそのまま当てはまります。収入と支出を項目ごとに把握するように、資産と負債も項目ごとに書き出してみることで、初めて「今どのくらい安心できる状態なのか」が見えてきます。
まず何を書き出すか|資産と負債の洗い出し
スプレッドシートを作る前に、書き出す項目を決めておくと迷いません。次の2つのグループに分けて考えると整理しやすくなります。
| 資産(プラスの財産) | 負債(マイナスの財産) |
|---|---|
| 普通預金・定期預金(銀行ごと) | 住宅ローン残高 |
| 証券口座の時価総額(個別銘柄は書かず合計額でOK) | 自動車ローン残高 |
| 財形貯蓄・社内預金 | カードローン・キャッシング残高 |
| 現金・電子マネー残高 | クレジットカードの分割・リボ払い残高 |
| 解約返戻金のある保険(貯蓄型) | 奨学金の残債 |
ポイントは「証券口座は時価総額の合計だけ書けば十分」ということです。この記事は保有商品や運用成績を評価するためのものではなく、あくまで家計全体の輪郭をつかむためのものなので、個別の銘柄名や利回りまで書き込む必要はありません。負債側も、金額と金利(わかれば)だけをメモしておけば十分です。
Googleスプレッドシートで作る手順
Googleアカウントがあれば無料で使えるGoogleスプレッドシートを使います。Excelのように高機能な表計算ソフトを別途購入する必要はありません。
1. 新しいシートを作り、2つのブロックに分ける
「資産」と「負債」でブロックを分け、A列に項目名、B列に金額、C列に更新日(記入した日付)を入れる形がシンプルでおすすめです。資産ブロックの下、負債ブロックの下にそれぞれ「小計」の行を作っておきます。
2. SUM関数で自動計算させる
Googleスプレッドシート公式ヘルプでも紹介されている基本の関数がSUM(合計)です。セルに「=」を入力してから関数名を入力すると、関数のヘルプボックスが表示され、書き方の例を確認しながら入力できます(Google ドキュメント エディタ ヘルプ「数式と関数を追加する」より)。例えば資産項目がA2〜A7セルに入っている場合、小計セルに次のように入力するだけで自動集計されます。
=SUM(A2:A7)
負債の小計も同じ要領で作り、さらに「資産合計 − 負債合計」を計算するセルを1つ作っておけば、家計全体の「純資産(正味の財産)」が自動で表示される仕組みが完成します。項目を追加・削除しても、SUM関数の範囲さえ含んでいれば計算し直す手間がありません。
3. 更新頻度は「月1回・給料日後」がおすすめ
毎日更新する必要はありません。給料日の後やクレジットカードの引き落とし後など、月1回決まったタイミングで各口座の残高を見て打ち込むだけで十分です。銀行アプリ・証券アプリ・カードアプリを順番に開いて数字を転記するだけなので、5〜10分程度で終わります。継続のコツは「完璧な自動連携」を目指さず、手打ちでいいから月1回だけ続けることです。
見える化したあと、何をすればいいか
資産と負債を1枚にまとめると、次に見えてくるのが「負債側で減らせるものはないか」「毎月の支出のうち、資産側に回せる余地はどこにあるか」という視点です。ここからは、以前まとめた固定費の記事が実際の見直し先として役立ちます。
- 毎月払っているサブスクを整理したい場合はサブスクの棚卸しで平均月3,600円を取り戻す|解約すべき基準と見直し手順を現役電気屋が解説【2026年】で棚卸しの基準を確認できます。
- 銀行口座とクレジットカードの組み合わせを見直したい場合は銀行口座とクレジットカードの組み合わせ、実は損してるかも|固定費を下げるコンボの考え方を電気屋が解説を参考にしてください。
- キャッシュレス決済がバラバラで支出が把握しづらい場合はPayPay・楽天ペイ・クレカ…結局どれを使えばいい?キャッシュレス決済の使い分けと家計簿アプリ連携のコツで使い分けを整理できます。
つまり、この資産・負債の見える化シートは「終わり」ではなく「見直しのスタート地点」です。数字が集まったら、上記の記事を参考に固定費側から手をつけ、その結果をまた月1回このシートに反映していく——というサイクルにすると、家計管理がぐるぐる回るようになります。
「いざというとき」の目安も一緒に確認しておく
資産の全体像が見えると、次に気になるのが「もしものときに、どのくらいの蓄えがあれば安心か」という点です。金融庁の同ガイドの生活設計ページでは、リストラ・事故・災害・病気といった不測の事態に備える「緊急資金」の目安として、日本FP協会の調査を引用する形で「3カ月〜1年分」という数字が紹介されています(金融庁「基礎から学べる金融ガイド」より)。これは投資に回す前提の目標額ではなく、あくまで生活費が一時的に途絶えても慌てずに済むための「手をつけない現金」の目安です。スプレッドシートの資産合計と、毎月の生活費(家計簿アプリの支出項目から把握できます)を照らし合わせれば、自分の家庭ではどのくらいの月数分をカバーできているかが一目でわかります。
よくある疑問FAQ
Q. Excelではダメですか?
Excelでも同じことは可能です。Googleスプレッドシートをおすすめしているのは、無料で使え、スマホアプリからも同じデータを確認・編集できる手軽さがあるためです。すでにExcelに慣れている場合は、そちらを使っても構いません。
Q. 銀行口座やカードと自動連携させたほうがいいですか?
自動連携できる家計簿アプリ・資産管理アプリを併用するのも一つの方法です。ただしプランによって連携できる口座数に制限があることも多いため、「アプリで自動反映できる範囲」と「このスプレッドシートで手動集計する全体像」を分けて考えると、費用をかけずに全体を把握できます。
Q. マイナスの純資産が出てしまいました。どうすればいいですか?
住宅ローンや奨学金が残っている段階ではマイナスになるのは珍しくありません。大事なのは金額そのものより、月1回の記録を続けて「マイナス幅が縮まっているか、広がっているか」という変化を追うことです。変化が見えると、固定費の見直しの効果も実感しやすくなります。
Q. 証券口座の中身(銘柄)まで書いたほうがいいですか?
この記事の目的は家計全体の見える化であり、個別銘柄の運用状況を評価するものではありません。証券口座は時価総額の合計だけで十分です。運用そのものの判断は、この記事の範囲外として専門家や公式情報を確認してください。
Q. 家族と共有する場合、気をつけることはありますか?
Googleスプレッドシートは共有設定でリンクを知っている人だけに編集・閲覧権限を絞れます。資産・負債の金額という機微な情報を扱うため、共有範囲は必ず家族など信頼できる相手だけに限定し、不要になった共有リンクはこまめに見直すようにしましょう。
まとめ
家計簿アプリは支出の記録には便利ですが、資産と負債の全体像まではカバーしきれないことがあります。今日からできることとして、①資産と負債を項目ごとに洗い出す、②Googleスプレッドシートに2ブロックで整理しSUM関数で自動計算させる、③月1回・給料日後に更新する、の3点を押さえるだけで、家計の「見えない不安」はかなり減らせます。見える化のあとは、サブスク・銀行口座×クレカ・キャッシュレス決済といった固定費側の記事を参考に見直しを進め、その結果をまたシートに反映していくサイクルを作ってみてください。
※本記事は家計管理・固定費の把握を目的としたものであり、特定の金融商品の推奨や投資判断のアドバイスを行うものではありません。資産運用に関する具体的な判断は、公的機関の情報や専門家への相談をもとに、ご自身の責任で行ってください。
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