夏が近づくと、毎年のように上がるのが電気代。多くの人は「エアコンの設定温度を上げよう」「こまめに消そう」と使い方から見直します。でも、現役電気屋の筆者から見ると、順番が逆です。先に見直すべきは「契約そのもの」。なぜなら契約の見直しは一度やれば、あとは何もしなくても毎月ずっと効き続けるからです。
この記事では、でんきや慎ちゃん(固定費を本気で削る派)の筆者が、①契約アンペア ②料金プラン ③新電力への切り替えという見直しの“正しい順番”を、注意点も正直に解説します。我慢して節電する前に、まず契約を点検してみてください。
🎯 結論ボックス
- ✅ 電気代を下げるなら、使い方より先に「契約」を見直す(手間ゼロで毎月ずっと効く)
- ✅ 見直す順番は ①契約アンペア → ②料金プラン → ③新電力
- ✅ アンペアで下げられる地域とそうでない地域がある(後述の表で確認を)
- ✅ 新電力は安くなる人が多いが、「市場連動型」「◯年縛り」だけは避けるのが電気屋の本音
- ✅ 契約を見直したうえで、最後に家電の使い方を整えると効果が最大になる
⚠️ 大前提:あなたの地域は「アンペア制」か「最低料金制」か
いちばん最初に知っておいてほしいのが、これです。実は「契約アンペアを下げて基本料金を節約する」ワザが使えるのは、一部の地域だけなんです。大手電力会社は、地域によって料金のしくみが2種類に分かれています。
| しくみ | 対象エリア(大手電力) | アンペアで基本料金は下がる? |
|---|---|---|
| アンペア制 | 北海道・東北・東京・北陸・中部・九州 | ✅ 下がる(契約アンペアで基本料金が変わる) |
| 最低料金制 | 関西・中国・四国・沖縄 | ❌ 下がらない(アンペア区分がない) |
筆者が住む鹿児島は九州電力=アンペア制なので、契約アンペアの見直しが効きます。一方で、関西・中国・四国・沖縄にお住まいの方は、アンペアを下げる節約は使えません(最低料金制のため)。その場合はステップ①を飛ばして、②料金プラン・③新電力から見直してください。ここを知らずに「アンペアを下げよう」と書いてある記事を読んで、自分の地域では効かなかった……というのを避けるためにも、まず自分の電力会社のしくみを確認しましょう。
★ステップ① 契約アンペアを見直す(アンペア制エリアの人)
検針票やマイページに「30A」「40A」などと書かれているのが契約アンペアです。これは「同時にどれだけ電気を使えるか」の上限で、大きいほど基本料金が高くなります。つまり、必要以上に大きく契約していると、その分だけ毎月ムダに払っていることになります。
東京電力を例にすると、30Aと40Aの基本料金の差は月311.75円。もし本当は30Aで足りるのに40Aで契約していたら、年間で約3,741円を余分に払っている計算です。何もしなくても、契約を1段階下げるだけでこれが消えます。
世帯人数別・アンペアの目安
| 世帯 | 目安アンペア | 備考 |
|---|---|---|
| 一人暮らし | 20〜30A | 在宅ワークや電子レンジ+ドライヤー同時使いが多いなら30A |
| 2〜3人 | 30〜40A | 標準的な使い方なら30A〜40Aで足りることが多い |
| 4人以上 | 40〜60A | IH・エアコン複数台・食洗機などを同時に使うなら大きめ |
💡【電気屋メモ】下げすぎるとブレーカーが落ちる
アンペアを下げる節約は効果的ですが、下げすぎると、エアコン・電子レンジ・ドライヤーなどを同時に使ったときにブレーカー(アンペアブレーカー)が落ちます。落ちるたびに復帰させるのはストレスですし、パソコン作業中なら作業も飛びます。判断の目安は「家じゅうの家電を“いちばん使う瞬間”に同時に動かしても落ちないか」。不安なら、まず1段階だけ下げて1〜2ヶ月様子を見るのが安全です。なお契約アンペアの変更は基本的に年に1回まで。電力会社へ電話かWebで申し込めば、工事費は無料のことがほとんどです。
★ステップ② 料金プランが「生活」に合っているか
アンペアを整えたら、次は料金プランそのものです。とくに見落とされがちなのが、「時間帯別プラン(オール電化向けプランなど)」が、今の生活に合っていないケースです。
時間帯別プランは、ざっくり昼間(8時〜22時ごろ)が高く、夜間・早朝(22時〜翌8時ごろ)が安いのが基本です。夜間にお湯を沸かすエコキュートや、夜に洗濯・充電をまとめてやる家庭にはお得。ところが——
- 在宅ワークや小さい子がいて昼間に在宅している
- もともとオール電化ではないのに、なんとなく時間帯別で契約している
——こういう場合は、昼の高い単価が効いて、かえって割高になっていることがあります。「夜安いから」と契約したけど、生活が変わって今は昼に使っている、というのはよくある話です。
💡【電気屋メモ】「燃料費調整の上限」があるかも見る
電気代には毎月「燃料費調整額」という、燃料の輸入価格に連動する加算(または割引)があります。昔からの従量電灯(規制料金)には“上限”がある一方、新しい自由料金プランやオール電化プランには上限がないものが多いです。燃料価格が高騰すると、上限なしのプランは青天井で上がってしまう。安いときはお得でも、高いときに効いてくる——ここを見ずにプランを選ぶと、年単位で損をすることがあります。我が家のプランに上限があるか、一度確認しておきましょう。オール電化の時間帯プランを使いこなす設定例は九州電力「おひさま昼トクプラン」をエコキュートで使う設定方法でも紹介しています。
★ステップ③ 新電力に切り替える(注意点も正直に)
契約アンペアとプランを整えたら、最後が「電力会社そのものを乗り換える(新電力)」です。電力自由化で、私たちは大手電力以外の会社からも電気を買えるようになりました。使用量が多い世帯ほど、乗り換えで安くなりやすいのが特徴です。
| 世帯 | 新電力切り替えの節約目安(月) |
|---|---|
| 一人暮らし | 逆に割高になることもある(要シミュレーション) |
| 2人 | 約204円 |
| 3人 | 約476円 |
| 4人 | 約664円 |
4人世帯なら月664円=年間で約8,000円。これも一度切り替えれば自動で効きます。ただし、新電力は「安くなる」ばかりではありません。電気屋として、ここだけは気をつけてほしいという注意点を挙げます。
- 市場連動型プランは避ける(少なくとも最初は):電力市場の価格にそのまま連動するタイプ。安いときは激安ですが、燃料高騰時に請求が跳ね上がるリスクがあります。価格が読めないので、家計を安定させたい人は固定単価のプランを選ぶのが無難です。
- 「◯年縛り・解約金」をチェック:2年契約などで途中解約に違約金がかかるプランだと、もっと安い会社が出ても乗り換えづらくなります。
- 支払い方法・割引条件:クレジットカード払い限定だったり、「Web明細登録が割引条件」だったりします。
- セット割の“解約ドミノ”:ガスやスマホとのセット割で安くしている場合、電気だけ解約すると他のサービスまで値上がりすることがあります。
切り替え自体は、Webで申し込むだけで今の電力会社への解約連絡も新会社がやってくれるので簡単です(工事も立ち会いも基本不要)。大事なのは申し込む前に必ず料金シミュレーションをして、「自分の使い方で本当に下がるか」を確認することです。
電気屋の本音:契約見直しは“最強の固定費削減”、でも飛びつくな
正直に言うと、契約まわりの見直しは「一度やれば、我慢ゼロで毎月ずっと効く」最強の固定費削減です。エアコンの設定温度を1℃我慢するより、契約を1段階直すほうがよっぽどラクで、効果も続きます。
ただし、「安い」だけで飛びつくのは禁物。市場連動型や◯年縛りで、結局トータルで損をする人を現場でも見てきました。①アンペア→②プラン→③新電力の順に、自分の地域・世帯・生活に合っているかを確認しながら進めてください。そのうえで、家電の使い方(エアコンの効率的な使い方など)を整えれば、夏の電気代はかなり違ってきます。
よくある質問
Q. アンペアを下げると、電気の“質”は落ちますか?
いいえ。アンペアは「同時に使える量の上限」を決めるだけで、電気そのものの質は変わりません。同時にたくさん使わなければ、下げても普段は気づかないことがほとんどです。落ちるのが不安なら1段階だけ下げて様子を見ましょう。
Q. 新電力に乗り換えると停電しやすくなりませんか?
いいえ。電気を届ける送配電網は、どの会社と契約しても地域の送配電会社が管理する同じ設備を使います。新電力に切り替えても、停電のしやすさや電気の品質は変わりません。
Q. 賃貸でもアンペア変更や新電力への切り替えはできますか?
多くの場合できますが、オール電化マンションなど、建物単位で契約が決まっている物件では変更できないことがあります。アンペア変更時にブレーカー交換が必要な場合は、念のため管理会社に一報を入れておくと安心です。
まとめ:使い方の前に、まず“契約”を点検する
電気代を下げるなら、我慢して節電する前に、まず①契約アンペア ②料金プラン ③新電力の順で「契約」を点検しましょう。どれも一度やれば自動で効き続ける、コスパ最強の固定費削減です。地域によってアンペアが効く・効かないがあるので、自分の電力会社のしくみを確認してから動くのがポイントです。
電気代以外の固定費もまとめて見直したい方は、固定費を年間50万円削減した実例と手順を入口にどうぞ。電気代を“家電側”から下げる具体策は電気代が高い家庭がまず見直す家電ワースト5とエアコンの電気代を月1,000円下げた7つの使い方にまとめています。
📚 あわせて読みたい(固定費を下げる)
※本記事の料金は2026年時点の一般的な目安です。基本料金・燃料費調整額・各プランの条件は電力会社やエリアにより異なります。契約前に必ずご自身の検針票・各社の最新料金表でご確認ください。
この記事が役に立ったら「いいね」で応援お願いします!

