「Windows10のサポートが終わったのは知っているけど、まだ普通に動いているし、そのまま使っている」という人は多いのではないでしょうか。筆者(でんきや慎ちゃん)は家電量販店の現場でパソコンの買い替え相談を受けることも多く、この半年ほど「ESUって結局どうすればいいの?」という質問が急に増えてきました。結論から言うと、慌てて買い替える必要はないケースも多い一方で、放置してよい話でもありません。この記事では、公式情報をもとに「延命(ESU)」と「買い替え」をどう判断すればよいかを整理します。
Windows10のサポートはすでに終了している
Windows10は2025年10月14日(米国時間)をもってMicrosoftのサポートが終了しました。サポート終了とは「PCが使えなくなる」という意味ではなく、正確には「新たに見つかった不具合やセキュリティ上の欠陥が、今後は修正されなくなる」という意味です。見た目には何も変わらないまま、静かにリスクだけが積み上がっていく状態になります。
使い続けるとどうなる?サポート終了後のリスク
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、Windows10のサポート終了に関する注意喚起の中で、CISA(米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)が公開する既知の悪用された脆弱性カタログ(KEV)を引用し、2024年以降に公開されたWindows OSの脆弱性のうち、実際に悪用が確認された情報が2025年9月末時点で41件登録されていると報告しています。この中には、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)への感染を目的に悪用されている脆弱性も含まれるとされています。
サポートが終了したOSは、こうした脆弱性が見つかっても修正プログラムが提供されません。つまり「穴が開いていることが分かっていても、塞がれないまま放置される」状態です。さらに影響はOS単体にとどまらず、ブラウザやメールソフトなど、Windows10上で動くサードパーティ製ソフトのサポートも順次終了していきます。ネットバンキングやオンラインショッピングなど、個人情報や決済情報を扱う操作をサポート切れのPCで続けることは、想像以上にリスクが高い行為だと考えてください。
ESU(拡張セキュリティ更新プログラム)とは
「今すぐ買い替えるのは難しい」という人向けに、Microsoftは個人(コンシューマー)向けのESU(Extended Security Updates/拡張セキュリティ更新プログラム)を用意しています。ESUに登録すると、Microsoft Security Response Center(MSRC)が定義する「緊急」および「重要」のセキュリティ更新プログラムだけが、期間限定で配信され続けます。バグ修正や新機能の追加、技術的なサポートは対象外という点は誤解しやすいので押さえておきましょう。
個人向けESUを受ける条件
Microsoft公式サイトによると、コンシューマー向けESUプログラムに登録するための主な条件は次のとおりです。
- Windows10 バージョン22H2(Home・Professional・Pro Education・Workstationsのいずれか)を実行していること
- デバイスに最新のWindows Updateが適用されていること
- サインインに使うMicrosoftアカウントが管理者アカウントであり、子供用アカウントではないこと
- キオスク端末、Active Directory/Microsoft Entraドメイン参加端末、MDM管理下の端末など「商用シナリオ」に該当しないこと
ローカルアカウントでサインインしている場合は、登録の途中でMicrosoftアカウントへの切り替えを求められます。
登録方法は3つ、費用もそれぞれ違う
個人向けESUは、次の3つの方法のいずれかで登録できます。どれを選んでも、受け取れるセキュリティ更新の内容・期間は同じです。
| 登録方法 | 費用 | 内容 |
|---|---|---|
| Windowsバックアップの利用 | 無料 | PC設定をMicrosoftアカウントに同期(クラウドバックアップ)することが条件 |
| Microsoft Rewardsポイント | 1,000ポイントと交換 | Bing検索の利用などで貯めたポイントを充当できる |
| 1回限りの購入 | 3,500円(税込・日本国内) | Microsoft公式サイトでは「30米ドルまたは現地通貨相当額+税」と案内 |
登録は「設定」→「更新とセキュリティ」→「Windows Update」から行い、条件を満たしていれば登録用のリンクが表示されます。1つのESUライセンスは、同じMicrosoftアカウントで最大10台までのデバイスに適用できるため、家族で複数台のWindows10 PCを使っている家庭では、1回の登録で他の端末もまとめてカバーできる可能性があります。
ここで重要な訂正情報があります。ESUは当初「サポート終了から1年間(2026年10月13日まで)」という期間限定のプログラムとして案内されていましたが、Microsoftは2026年6月25日、個人向けESUの提供期間を2027年10月12日まで延長すると発表しました。つまり現時点(2026年7月)では、「今すぐ登録しないと間に合わない」という状況ではなく、登録はプログラム終了までいつでも可能です。ただし登録前の期間はセキュリティ更新が届かないまま使うことになるため、使い続けるなら早めの登録をおすすめします。
買い替えの判断基準
ESUはあくまで「時間を買う」延命策であり、いずれは買い替えが必要になります。次の3つの視点で、今すぐ買い替えるべきか、ESUで様子を見るべきかを判断してみてください。
1. Windows11の最小システム要件を満たしているか
まず確認すべきは、今のPCがそもそもWindows11にアップグレードできるかどうかです。Microsoft公式サイトが公開している最小システム要件は以下のとおりです。
| 項目 | 最小要件 |
|---|---|
| プロセッサ | 1GHz以上・2コア以上の64ビット互換プロセッサまたはSoC |
| メモリ | 4GB以上 |
| ストレージ | 64GB以上 |
| システムファームウェア | UEFI、セキュアブート対応 |
| TPM | バージョン2.0 |
| グラフィックス | DirectX 12以上(WDDM 2.0ドライバー) |
| ディスプレイ | 対角9インチ以上・8ビットカラー・720p以上 |
特につまずきやすいのがTPM2.0とセキュアブートの2点です。PCの購入時期によっては非対応のことがあり、この場合はBIOS設定の変更だけでは解決できず、事実上「買い替え一択」になります。要件を満たしているかどうかは、Windows10であれば「PC正常性チェック」アプリで確認できます(このアプリはグラフィックカードやディスプレイまでは判定しないため、その2項目は別途確認が必要です)。
2. PCの年齢と、部品の消耗度合い
要件を満たしていても、本体の年数によっては「アップグレードしても快適に使えるか」は別問題です。バッテリーの持ちが明らかに悪くなっている、ファンの音が以前より大きい、起動や動作が年々遅くなっているといったサインは、Windows11の要件を満たしていても買い替えを検討する材料になります。家電全般に言えることですが、部品の寿命が近づくと修理費用が本体価格に近づいていくため、「壊れる前」に判断したほうが結果的に出費を抑えられることが多いです。この考え方は家電は「壊れる前」がいちばん安いという記事でも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
3. 普段の用途に見合っているか
ネットの閲覧やメール、動画視聴が中心であれば、Windows11の要件をぎりぎり満たす程度のスペックでも十分なことがほとんどです。逆に、動画編集や複数アプリの同時起動、オンラインゲームなど負荷の高い作業をする場合は、最小要件だけを見て判断すると買い替え後に「動作がもっさりする」と後悔しがちです。買い替え先としてWindowsノートPCを選ぶかMacBookを選ぶか迷っている場合は、両方を実際に使い比べた視点でMacBookとWindowsノートPC比較の記事もあわせて確認してみてください。
よくある質問
Q. ESUに登録すれば、もうWindows11に移行しなくてもいい?
A. ESUはあくまで期間限定の延命措置で、2027年10月12日にプログラム自体が終了します。その後はセキュリティ更新が一切提供されなくなるため、いずれはWindows11への移行、または買い替えが必要になります。
Q. ESUに登録した状態でも、Windows11にアップグレードできる?
A. できます。ハードウェアの要件を満たしていれば、ESU登録中でもWindows11へのアップグレードは可能です。ESUに入ったからといって、Windows11への道が閉ざされるわけではありません。
Q. 家に複数台Windows10のPCがある場合、1台ずつ登録が必要?
A. 1つのESUライセンスは同じMicrosoftアカウントで最大10台まで使えます。ただし各端末は登録の前提条件(バージョン22H2・最新更新の適用など)を個別に満たしている必要があります。
Q. 動作が遅いのはOSのせい? それとも回線のせい?
A. 「PCの動きが遅い」と「ネットが遅い」は原因が別物です。Webサイトの表示だけが遅い場合はOSよりも回線側が原因のことも多く、Wi-Fiが遅い原因の切り分け方の記事で見分け方を解説しています。買い替える前に、まずは原因を切り分けてみることをおすすめします。
まとめ
Windows10のサポートはすでに終了しており、使い続けるほどセキュリティリスクは積み上がっていきます。とはいえ、個人向けESUは2027年10月12日まで延長されており、無料での登録手段(Windowsバックアップの利用)も用意されているため、「今すぐ買い替えないと危険」というほど切羽詰まった話でもありません。まずは今のPCがWindows11の要件を満たすかを確認し、満たしていてまだ使えそうならESUで時間を稼ぎながら移行を進める、満たしていない・部品の寿命が近いなら買い替えを検討する、という順番で考えるのが後悔しない判断基準です。家電全般に共通する「壊れる前に判断する」という視点を、パソコンにもあてはめてみてください。
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