筆者は現役の電気工事士(でんきや慎ちゃん)です。お客様の家に伺うと、今でも押し入れの奥から白熱電球のストックが出てきたり、キッチンの直管蛍光灯がジジジと点滅していたりする場面によく出会います。「LEDにすると電気代が下がるのは知っているけど、実際いくらなのか分からない」「電球を替えるだけでいいのか、工事が必要なのか分からない」という声もよく聞きます。今回は電気工事士の計算式で具体的にいくら下がるのかを出しつつ、自分で交換していい範囲と、資格が必要な範囲を正直に線引きします。
この記事の要点
– 白熱電球(60W)1個をLED電球(60W形相当・約7W)に替えると、1日8時間点灯で年間4,500円前後の節約になる
– 直管蛍光灯(40W形)をLED直管に替えると、安定器のロス分も含めて1本あたり年間1,800円前後の節約になる
– ソケットにねじ込む「電球」の交換は誰でもOK。一方、蛍光灯器具を安定器ごと取り外して配線を直結する「バイパス工事」は電気工事士の資格が法律で必須
– 「工事不要」をうたうLED蛍光灯にも、安定器を経由し続けるタイプと完全に迂回するタイプがあり、選び方を間違えると本来の省エネ効果が出ない
– 直管・環形蛍光灯は2027年末までに製造・輸出入が禁止される予定。今使っているものが壊れたら、後継のLED器具に置き換わっていく流れは避けられない
白熱電球をLEDに替えると年間いくら下がるか
電気代は「消費電力(kW)×使用時間×電力単価」で計算できます。電力単価は地域・契約プランで変わりますが、ここでは目安として1kWhあたり31円で計算します。
60Wの白熱電球を1日8時間、365日使い続けた場合の年間電気代は次の通りです。
- 白熱電球60W:0.06kW×8時間×365日×31円 = 約5,431円/年
- LED電球(60W形相当・消費電力約7W):0.007kW×8時間×365日×31円 = 約634円/年
差額は約4,800円/年。実際に流通しているLED電球は7〜10W程度の製品が多いので、実測ではおおむね年間4,500〜4,800円の節約になると考えておけば大きくは外れません。家の中に白熱電球が5個残っているなら、それだけで年間2万円以上変わる計算です。LED電球本体は1個500〜1,500円程度で、寿命も白熱電球(約1,000〜2,000時間)に対してLEDは4万時間前後と長いため、初期費用は数ヶ月〜1年程度で回収できます。
蛍光灯をLEDに替えると年間いくら下がるか
直管蛍光灯(40W形)は、ランプ自体の消費電力が約36W前後あるうえ、点灯に必要な「安定器」自体も3〜5W程度の電力を消費しています。つまり蛍光灯1本あたりの実際の消費電力は40W前後です。これをLED直管(同等サイズで消費電力15〜16W程度)に交換すると、次のような差になります。
- 直管蛍光灯40W形(安定器込み・約40W):0.04kW×8時間×365日×31円 = 約3,621円/年
- LED直管(約16W):0.016kW×8時間×365日×31円 = 約1,448円/年
差額は約2,170円/年。キッチンや洗面所、事務所などで蛍光灯を複数本使っている家庭ほど、LED化のインパクトは大きくなります。4本まとめて交換すれば年間8,000円以上の節約になる計算です。資源エネルギー庁の調査でも、家庭の消費電力に占める照明の割合は年間で約11%とされており、電気代が高いと感じている家庭ほど照明の見直し効果は出やすい部分だと感じます。
自分で交換していい範囲・電気工事士が必要な範囲
ここが今回いちばん伝えたいポイントです。「LED化」とひとくちに言っても、作業の中身によって誰でもできる範囲と資格がないとやってはいけない範囲がはっきり分かれています。
- ◯ 電球のねじ込み交換(引掛シーリング・E26/E17ソケット):リビングの照明器具や電球1個のスタンドなど、ソケットに電球をねじ込むだけのタイプは、誰が交換しても問題ありません。口金の規格(E26=太い方、E17=細い方)とサイズ(電球の形・W数相当)さえ合わせれば、資格は不要です
- △ 「工事不要」のLED直管(グロースターター式):グロー球を専用のものに差し替え、蛍光灯の代わりにLED管を挿すだけのタイプはDIYで交換できます。ただし安定器を経由したまま点灯する仕組みのため、本来のLED省エネ効果を100%は発揮できません。さらに、安定器自体は蛍光灯時代からの経年劣化部品なので、安定器が先に寿命を迎えると発火につながる恐れがあると指摘されています。「工事不要タイプに交換したから安心」ではなく、安定器自体の状態にも意識を向けておく必要があります
- × 安定器バイパス工事(直結工事):安定器を配線ごと取り外し、電源をLEDランプに直結する工事です。電気配線を直接触るため、電気工事士の資格が法律で義務付けられています。無資格でこの工事を行うのは違法で、感電・ショート・火災のリスクも上がります。「YouTubeで見たからできそう」と自分で配線をいじるのは絶対にやめてください
目安としては、「コンセントにプラグを挿す・ソケットに電球をねじ込む」レベルの作業は誰でもOK、「配線をカット・接続し直す」作業が発生した時点で電気工事士の領域だと考えてください。迷ったら、無理せず電気工事店に一声かけるのが安全です。
2027年、蛍光灯は「作れなくなる」
時事的な話として知っておいてほしいのが、蛍光灯の製造・輸出入が段階的に禁止される「2027年問題」です。水銀に関する水俣条約の締約国会議で合意された内容にもとづき、電球型(コンパクト形)蛍光ランプは2026年12月31日、直管・環形の蛍光ランプは2027年12月31日で製造・輸出入が禁止されます。すでに販売されている在庫の販売・使用自体は禁止されませんが、生産が止まる以上、店頭在庫がなくなり次第、価格の上昇や入手性の悪化が進んでいくのは避けられません。
「今のところ蛍光灯はまだ点いているから」と後回しにしている家庭も多いと思いますが、蛍光灯が寿命を迎えたときに慌てて選ぶより、電気代の節約効果も含めて、今のうちにLEDへの置き換えを計画的に進めておくことをおすすめします。
まとめ|電球はDIY、器具の中の配線は電気工事士へ
白熱電球のLED化は1個あたり年間4,500円前後、蛍光灯のLED化は1本あたり年間2,000円前後の節約になります。どちらも電球・ランプの交換だけなら誰でもできる作業ですが、蛍光灯器具の安定器を取り外して配線を直結する「バイパス工事」だけは電気工事士の資格が必要な領域です。安全に交換できる範囲とそうでない範囲を切り分けたうえで、電気代の節約と2027年の蛍光灯製造終了を見据えて、無理のない範囲からLED化を進めてみてください。
コンセント・配線まわりの安全については、あわせて次の記事も参考にしてください。
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