年末調整のやり方【令和8年分】書類の意味と、書き間違えたときの直し方

お得・株主優待

この記事でわかること

  • 年末調整で会社に出す書類が何を申告するためのものか(令和8年分)
  • 国税庁の無料ソフト「年調ソフト」の入手先と、使うときの流れ
  • 令和8年分で変わった点(基礎控除の引上げなど)と、見落としやすい書き方のポイント
  • 提出したあとに間違いに気づいたときの直し方(会社での再調整と、確定申告での還付)

※この記事は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」と、国税庁の年末調整関連ページ(いずれも2026年11月6日に確認)をもとに書いています。今年の改正は原則として令和8年12月1日から施行され、年調ソフトは同日以後に行う令和8年分の年末調整に対応しています。国税庁の案内は更新されることがあります。実際の提出期限・提出方法・使える電子化の仕組みは勤務先ごとに違うため、迷ったら勤務先の担当部署や税務署に確認してください。

秋になると会社から「年末調整の書類を出してください」と案内が届きます。ただ、書類の名前が長く、どれが何のための紙なのか分かりにくいものです。この記事では、会社員が自分で書く・出す側の視点で、書類の意味、国税庁の無料ソフトの使いどころ、令和8年分で変わった点、そして提出後に間違いに気づいたときの対応をまとめます。

この記事の結論

  • 年末調整は、毎月の給与から引かれた所得税と、1年間で本来払う税額との過不足を、年末に精算する手続き。多くの会社員は、これで確定申告が不要になる
  • 書類は大きく「扶養控除等申告書」「基礎控除・配偶者控除などの兼用の申告書」「保険料控除申告書」の3種類(住宅ローン控除の2年目以降は、税務署から届く申告書も加わる)
  • 令和8年分は基礎控除の引上げなど改正がある。会社に出す書類の様式も前年と違うので、前年の控えは参考にとどめ、今年分の様式と金額を確認する
  • 提出後に間違いに気づいたら、早めに勤務先へ相談。勤務先でやり直せるのは、源泉徴収票を作成・交付する日までが目安(交付は通常、翌年1月末まで)。間に合わなければ確定申告(還付申告)で直せる。税額が不足する変更は、1月末を過ぎても会社での再調整が必要

年末調整とは|何を精算する手続きか

会社員の給与からは、毎月、決まった表(源泉徴収税額表)に基づいて所得税が引かれています。ただ、この1年間の合計額は、1年間の給与総額から計算した本来の税額と一致しないのが通常です。年の途中で給与が変わったり、生命保険料や地震保険料の控除が毎月の計算には入っていなかったりするためです。

そこで、年の最後に給与の支払者(会社)が正しい年税額を計算し、引きすぎていれば還付、足りなければ徴収する――この精算が年末調整です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。一般に、勤務先1か所だけから給与を受け、ほかの所得が少額なら、年末調整で手続きが済み、確定申告は必要ありません。

年末調整の対象になる人・ならない人

国税庁の資料では、原則として、会社に「扶養控除等(異動)申告書」を出している人が対象です。一方、対象外の例として、次のような人があげられています。

  • その年の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人
  • 2か所以上から給与を受け、ほかの会社に扶養控除等申告書を出している人(乙欄の人)
  • 年の途中で退職した人(一部の例外あり)
  • 日雇いなどで、同じ雇用主に継続して雇われていない人

年末調整の対象外の人は、確定申告が必要かどうかを自分で確認します。納めすぎの場合は、確定申告で還付を受けることもできます。年の途中で退職した場合の税金は退職前に確認すべき税金チェックリストも参考にしてください。

書類の意味|どの紙で、どの控除を申告するか

会社から配られる書類は、会社によって名前や体裁が違います。国税庁の様式では、次のように分かれています(基礎控除などの4つは、1枚の兼用様式になっています)。

書類 申告する控除 書く人
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除 家族に変更がなくても、会社に出していない人は出す。年の途中で家族に変更があったときも異動を申告する
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除 基礎控除などこの用紙にある控除を受ける人(勤務先の指示に従う)。本人の所得の見積額を書く欄がある。配偶者や特定親族がいる人は、その所得の見積額も書く
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(自分で払った分)、小規模企業共済等掛金控除(自分で払った分) 対象の保険料などを払った人。保険会社などから届く控除証明書を添付(または電子データで提出)
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除) 2年目以降の人。税務署から本人あてに交付される。最初の年分は、年末調整ではなく確定申告で適用を受ける

※出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(2026年11月6日確認)

表のとおり、ふるさと納税などの寄附金控除や医療費控除は、年末調整の書類に載っていません。これらは確定申告で申告するものです(ふるさと納税は、条件を満たせば「ワンストップ特例」で確定申告が不要になります。ワンストップ特例の期限・書類・よくある間違いで詳しく書いています)。

生命保険料控除の証明書で気をつけること

保険料控除申告書には、保険料を払ったことを示す証明書類(控除証明書など)を添付するか、電子データで提出するのが原則です。国税庁の資料には、次のような扱いが書かれています。

  • 旧生命保険料(平成23年12月31日以前の契約)は、1契約の年間保険料が9,000円を超えるものだけ証明書類が必要。それ以外の保険料は、金額にかかわらず証明書類が必要
  • 証明書類がまだ手元に届いていない場合は、翌年1月末日までに提出することを条件に、控除をしたところで年末調整をしてよいことになっている(勤務先の判断・運用で、独自の締め切りがあることもあるので、会社の案内を確認)
  • 保険料は、新生命保険料・旧生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料などの区分ごとに合計する。ほかの区分に振り替えて書くことはできない

令和8年分で変わった点

国税庁の資料によると、令和8年分の年末調整では、次の改正があります。前年と同じ感覚で書くと間違えやすい部分です。

  1. 基礎控除の引上げ:所得税の基礎控除の本則が58万円から62万円に引き上げられました。さらに、合計所得金額に応じた加算があり、合計所得金額が489万円以下の場合の令和8年分の基礎控除額は104万円です(489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円。合計所得金額が2,500万円を超えると適用なし)
  2. 給与所得控除の最低保障額の引上げ:65万円から74万円に引き上げられました(令和8・9年分)
  3. 扶養親族等の所得要件の改正:基礎控除の引上げに伴い、扶養親族などになれる所得の上限が上がりました。たとえば扶養親族は、収入が給与だけの場合の目安で、改正前の123万円以下から136万円以下になります。新たに要件を満たすことになった親族がいる場合は、扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です
  4. 年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例:新生命保険料に係る一般生命保険料控除の計算が、令和8・9年分は別の表になり、控除の限度額も6万円(改正前は4万円)になります(一般・介護医療・個人年金の合計限度額は12万円のまま)

基礎控除の引上げなどによる税額は、勤務先の年末調整の計算で自動的に反映されます。個人が計算しなくてもよいのですが、「家族の所得の見積額」を書く欄は、改正後の基準で判断されるため、会社が配る新年度の様式・記入例を見ながら書くのが安全です。

国税庁の無料ソフト「年調ソフト」で作る流れ

⚠ 年調ソフトの既知の不具合(国税庁・2026年10月22日公表)

  • 23歳未満で、「他の所得者の控除対象」を「はい」にして、所得の見積額が62万円を超える家族がいる場合、生命保険料控除や所得金額調整控除の金額が過大に算定されることがある。国税庁は、令和8年11月中旬ごろに再リリースする予定としている
  • Android版で、「書面出力」を選ぶとPDFが見られなくなる。暫定対応として「電子データで出力する」を選ぶ方法が案内されている

最新の状況は、国税庁の年調ソフトのページで確認してください。

国税庁は、申告書をスマホやパソコンで作れる無料のソフト「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)」を公開しています。令和8年分は、令和8年10月1日に正式版が公開されました。令和8年12月1日以後に行う年末調整に対応しています。

  • 入手先(スマホ・ストア):App Store・Google Play・Microsoft Storeで「年末調整 国税庁」と検索
  • 入手先(パソコン):国税庁の「年末調整手続の電子化に向けた取組について」のページから、Windows版・macOS版をダウンロード
  • 流れ:画面の案内に沿って、扶養する家族や所得の見積額、保険料の金額を入力→控除申告書のデータを作成→勤務先へ提出(提出の方法は会社の指示に従う)
  • 証明書の取り込み:保険会社などが電子化に対応していれば、マイナポータルなどで取得した控除証明書のデータを取り込める

ただし、年調ソフトで作ったデータを受け付けるかどうかは、勤務先の方針しだいです。会社が独自の電子申告システムや紙の様式を使っている場合は、会社の指示に従ってください。

⚠ 書くときの注意

  • 所得の見積額は、「今年1年間の見込み額」。パートなど収入に変動のある家族は、見積もりが少しずれても、あとで直せる(下の「間違えたとき」を参照)
  • 「収入」は税金などを引く前の給与の金額、「所得」は給与所得控除などを引いたあとの金額。所得の見積額の欄は、収入ではなく所得を書く
  • 年末調整の時点の状況で申告し、そのあと年内に家族の状況が変わったら、会社に申告する
  • 控除証明書は、はがきや封書で届く時期が保険会社ごとに違う。届かないときは、保険会社に再発行を頼む
  • マイナンバーカードを使った操作や電子証明書には有効期限がある。期限が近い場合は、更新の手続きを早めに

提出したあとで間違いに気づいたときの直し方

「家族の所得見積もりが違っていた」「保険料控除の書き忘れがあった」――提出後に気づくことはよくあります。順番に考えるのが安全です。

① まず、勤務先がまだ年末調整をしていない・直せるうちに相談

勤務先での年末調整が終わる前なら、書類を差し替えてもらうだけで済みます。気づいたらすぐ総務・経理に連絡しましょう。

② 年末調整のあとでも、翌年1月末までは勤務先で「やり直し」ができる場合がある

国税庁の資料では、年末調整が終わったあとでも、次のようなケースでは、「給与所得の源泉徴収票」を作成・交付する日まで(交付は通常、翌年1月末日まで)、年末調整のやり直し(再調整)ができるとされています。

  • 結婚や就職などで、扶養親族の数が変わった(扶養などの判定は、原則としてその年の12月31日の状況によります。年末調整のあとに年内で変更があったときは、会社に申告してやり直せます)
  • 配偶者や特定親族の所得の見積額と、実際の金額に差が出て、控除額が変わる
  • 年末調整のあとに保険料を払った(保険料控除申告書で申告し直す)
  • 住宅借入金等特別控除申告書があとから提出された

やり直しの受け付け方は会社ごとに違うので、早めに担当部署へ相談してください。なお、扶養親族が減った場合など、納める税額が足りなくなる変更は、翌年1月末を過ぎても会社でやり直し(不足分の徴収)が必要です(国税庁タックスアンサーNo.2671)。

③ 翌年1月末を過ぎたら、確定申告(還付申告)で直す

会社での再調整が間に合わなくても、納めすぎた税金は、自分で確定申告をすることで取り戻せます。国税庁タックスアンサーNo.2030「還付申告」によると、給与所得者が還付申告をする場合の例として、住宅ローン控除、医療費控除、寄附金控除などがあげられています。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(確定申告期間とは関係なく出せます)。

逆に、控除額を多く申告してしまったときは、税金が不足している状態になるため、会社の指示に従って修正するか、確定申告で納める必要が出ることがあります。気づいた時点で、勤務先か税務署に相談してください。

また、ふるさと納税でワンストップ特例を申請している人が、控除の書き忘れなどで確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になり、ふるさと納税もすべて確定申告で申告する必要があります。国税庁のホームページには、チャットボット「税務職員ふたば」(令和8年10月ごろから令和9年1月下旬までの公開予定)も案内されています。

年末調整だけでは終わらない人

国税庁タックスアンサーNo.1900によると、次のような人は、年末調整を受けても確定申告が必要です。

  • 給与の年間収入が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超える人(副業の所得など)
  • 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与と他の所得の合計が20万円を超える人

副業の所得の扱いは副業で経費にできるもの一覧、開業届と青色申告は開業届の出し方、副業の物販の棚卸しは年末の在庫(棚卸し)の扱いで詳しく書いています。

よくある質問(FAQ)

Q. 年末調整はいつまでに何を出せばいい?

提出期限は会社ごとに決まっています(国税庁の資料では、令和8年分の年末調整は令和8年12月1日以後に行うものとされています)。まずは会社の案内を確認してください。

Q. 家族に変更がなければ、扶養控除等申告書は出さなくていい?

扶養控除等申告書は、その年の最初の給与の支払いを受けるまでに出すのが原則です。年末には、今年分の確認と、来年(令和9年分)の申告書の提出が同時に求められることがあり、今年分を出していても来年分は別です。会社の案内に従ってください。

Q. 年調ソフトで作ったデータを、会社が受け付けてくれなかったら?

勤務先の運用が優先されます。会社が指定する様式・システムで書き直してください。年調ソフトで調べた金額などは、会社の様式に書き写す際の手がかりになります。

Q. 副業をしていますが、年末調整だけで終わりますか?

副業の所得(給与以外)が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です(国税庁タックスアンサーNo.1900)。20万円以下でも、住民税の申告が別に必要になることがあるため、お住まいの市区町村の案内を確認してください。

まとめ

年末調整(令和8年分)・要点

  • 書類は扶養控除等申告書/基礎控除などの兼用の申告書/保険料控除申告書の3つが基本。ふるさと納税・医療費は年末調整では扱えない
  • 令和8年分は基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正などがある。前年の控えの使い回しは避ける
  • 国税庁の年調ソフトは無料。ただし受け付けるかは会社しだい
  • 間違いに気づいたら、早めに会社へ。勤務先での再調整は源泉徴収票の交付前(通常は翌年1月末まで)が目安、間に合わなければ確定申告(還付申告)で直せる。税額が不足する変更は1月末以降も会社で再調整が必要

年末調整は、書類の数が多く見えても、「この紙は、どの控除を申告するためのものか」が分かると、迷いが減ります。控除証明書が届く時期はばらつくので、早めに揃え始めると安心です。

関連記事

※本記事は、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について」、国税庁タックスアンサー「No.2030 還付申告」「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」を参考に、2026年11月6日時点で確認できた内容で作成しています。税額の判断が必要な場合は、勤務先・税務署・税理士に相談してください。

この記事が役に立ったら「いいね」で応援お願いします!

この記事についてのご質問・お問い合わせ

    タイトルとURLをコピーしました