「スマホが熱くて動きが重い」「アプリを開いただけで電池が減っていく」——夏場になると、家電量販店の店頭でこういった相談を受けることが増えます。筆者(でんきや慎ちゃん)も毎年この時期は「スマホが熱くなるのは壊れているから?」「冷やしたいけど何をすればいいの?」という質問を何度も受けます。実はこの「スマホの発熱」自体は夏場によくある現象ですが、対処法を間違えると内部の結露や電池の劣化につながることがあります。この記事では、Apple公式サポート・NTTドコモ公式・NITE(製品評価技術基盤機構)といった一次情報をもとに、夏にスマホが熱くなる仕組み、正しい冷やし方と絶対にやってはいけないNG対処、バッテリー劣化のサインと寿命を延ばす設定、買い替え判断の目安まで整理します。
夏にスマホが熱くなるのはなぜか
NTTドコモの公式サポートでは、スマホの発熱を「外部からの熱」と「内部からの熱」の2種類に分けて説明しています。外部からの熱は直射日光に当たったり、ストーブなど熱源の近くに置いたりした際に発生するもの、内部からの熱は充電やカメラの使用、動画視聴などによって部品自体が発熱するものです(NTTドコモ公式「夏によく発生するスマホの発熱とは」より)。つまり夏場は「気温そのものが高い+炎天下や車内で外部から熱を受けやすい」タイミングに、動画視聴やゲーム、充電しながらの操作といった「内部で熱を発生させる使い方」が重なりやすく、結果として発熱しやすくなるというわけです。
Appleの公式サポートでも、iPhone・iPadは周囲の温度が0℃〜35℃の環境で使用することを前提に設計されており、この範囲を超えると本体を保護するために処理速度を落とすなどの温度調整が働き、「高温注意」の警告が表示される仕組みになっていることが案内されています(Apple公式サポート「iPhoneやiPadが高温または低温になりすぎた場合」より)。真夏の車内は50℃前後まで上がることもあるため、この上限を簡単に超えてしまう点は覚えておきたいところです。
スマホが熱くなったときの正しい対処法
スマホが熱いと感じたら、まず次の対処を順番に試してみてください。
- 負荷の高い操作をやめる:動画視聴・ゲーム・カメラの連続使用など、内部発熱の原因になっているアプリを閉じる
- 充電を一旦止める:充電しながらの操作は発熱と充電の熱が重なりやすいため、熱いと感じたら充電ケーブルを外す
- ケースを外す:ケースが熱を内側にこもらせてしまうことがあるため、外して放熱を助ける
- 風通しの良い日陰に置く:直射日光の当たらない、涼しい場所に移動させる
- 扇風機の風を当てる:ドコモ公式の検証記事では、いくつかの冷却方法のうち「扇風機のように直接冷風を当てる」方法が最も効果的に温度を下げられたと紹介されています(前掲・ドコモ公式より)
これらを行ってもなお高温警告が消えない、電源が落ちる、本体が異常に膨張しているといった場合は、無理に使い続けず、キャリアショップやメーカーサポートに相談してください。
絶対にやってはいけないNG対処法
スマホが熱いときに「早く冷やしたい」という気持ちから、保冷剤や冷蔵庫を使ってしまう方が少なくありません。しかしこれは複数の公式情報が共通して警告している、やってはいけない対処法です。
ドコモ公式サポートは「エアコンの冷風を直接当てる、保冷剤で冷やす、水に入れる、冷蔵庫に入れるなど、スマホを急激に冷やすと、結露などによる故障の原因となりますので行わないでください」と明記しています(NTTドコモ公式「夏の暑さからスマホを守る!『スマホ熱中症』注意点と予防のススメ」より)。熱くなった本体を急激に冷やすと、本体内部の温度差によって目に見えない水滴(結露)が発生し、基板がショートしたり腐食したりする原因になります。冷やした直後は普通に動いていても、数時間後や翌日になって突然電源が入らなくなるケースもあるため、「冷えたから大丈夫」と安心せず、そもそも急冷を避けることが重要です。
| やってよい冷やし方 | 絶対にやってはいけない冷やし方 |
|---|---|
| 電源・充電を止めて風通しの良い日陰に置く | 保冷剤・氷を直接当てる |
| 扇風機の風を当てる | 冷蔵庫・冷凍庫に入れる |
| ケースを外して自然に放熱させる | エアコンの冷風を至近距離で直接当て続ける |
| 涼しい室内でしばらく操作を控える | 水に浸す・濡れタオルで包む |
バッテリー劣化のサインと寿命を延ばす設定
高温はバッテリーの劣化にも直結します。Apple公式サポートは、iOSやiPadOSのデバイスを高温状態で使い続けたり保管したりすると、バッテリーの寿命を永続的に縮めてしまう可能性があると案内しています(前掲・Apple公式サポートより)。「少し熱いけれど使えているから大丈夫」と使用を続けるのではなく、熱を感じた時点で早めに休ませることが、結果的にバッテリーを長持ちさせることにつながります。
次のようなサインが出てきたら、バッテリーの劣化が進んでいる可能性があります。
- フル充電してもすぐに電池残量が減る
- 急に電源が落ちる、または再起動を繰り返す
- 本体(特に背面)が明らかに膨らんでいる
- 充電に以前よりも時間がかかるようになった
iPhoneの場合は「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」から、最大容量(新品時に対して現在どれだけ充電できるか)を確認できます。Androidの場合も機種によって設定アプリ内にバッテリーの状態を表示する項目があるので、心当たりがある場合は確認してみてください。また、比較的新しいiPhoneには充電の上限を80%までに制限できる設定があり、満充電状態を保つ時間を減らすことでバッテリーへの負荷を抑える工夫もできます。日々の使い方全体を見直したい場合は、以前まとめたiPhone・Androidの時短設定10選もあわせて参考にしてください。
もしものときの火災リスクにも要注意
NITE(製品評価技術基盤機構)は2026年6月、リチウムイオン電池を搭載した製品(スマートフォンやモバイルバッテリーなど)の事故について注意喚起を行っています。2020年から2024年の5年間にNITEへ通知された事故は1,860件にのぼり、そのうち約85%が火災事故に発展していること、事故件数は気温の上昇とともに増加し6月〜8月にピークを迎えることが明らかにされています(NITE公式「『夏バテ(夏のバッテリー)』にご用心〜『リチウムイオン電池搭載製品』の火災事故を防ぐ3つのポイント〜」より)。NITEは予防のポイントとして「高温下に放置するなどして熱を与えない」「強い衝撃を与えない」ことを挙げたうえで、「異常を感じたらすぐに充電・使用を中止する」よう呼びかけています。万一発煙・発火した場合は、大量の水をかけて消火し、可能な限り水没させた状態で119番に通報するよう案内されています。車の中にスマホやモバイルバッテリーを置いたまま炎天下で長時間駐車する、といった行為は避けるようにしてください。
買い替え判断の目安
発熱やバッテリー劣化への対処を続けても改善が見られない場合は、買い替えのタイミングを検討する目安になります。目安としては、バッテリーの最大容量が新品時から大きく下がっている(一般的に80%を下回ると体感でも劣化を感じやすいとされます)、発熱や電源落ちが特定の操作をしなくても頻繁に起きる、本体が膨張している、といった状態です。特に本体の膨張は内部のリチウムイオン電池が劣化しているサインで、そのまま使い続けるのはNITEが注意喚起する火災リスクにもつながるため、無理に使い続けず、メーカーやキャリアショップでのバッテリー交換・機種変更を検討してください。機種選びで迷ったときはかんたんスマホ・らくらくスマートフォンの比較も参考になります。実家のスマホがしばらく更新されていない場合は、帰省のタイミングで実家の親のスマホ安全設定チェックリストとあわせて、発熱・バッテリーの状態も一緒に確認しておくと安心です。
よくある疑問FAQ
Q. 車の中にスマホを置いたまま買い物に行っても大丈夫ですか?
短時間でも避けた方が安全です。真夏の車内は50℃前後まで達することがあり、Apple公式が案内するiPhoneの動作温度上限(35℃)を大きく超えます。バッテリーの劣化だけでなく、NITEが注意喚起するようなリチウムイオン電池の事故リスクも高まるため、車を離れるときはスマホも一緒に持ち出す習慣をおすすめします。
Q. 保冷剤をタオルで包んでから当てるならNGにはなりませんか?
タオル越しであっても、本体を急激に冷やすこと自体が結露の原因になるため、ドコモ公式が案内する通り避けた方が安全です。冷やしたいときは扇風機の風を当てる、涼しい場所に置いて自然に温度が下がるのを待つ方法を選んでください。
Q. 熱くなったらすぐに電源を切った方がいいですか?
操作をやめて充電を止め、風通しの良い場所に置くだけでも温度は下がっていきます。高温警告が表示されたまま改善しない場合や、電源が落ちる・強く熱いといった状態が続く場合は、無理に操作を続けず電源を切って様子を見てください。
Q. バッテリーの最大容量は何%を切ったら交換した方がいいですか?
明確な基準はメーカーによって異なりますが、80%を下回ると体感でも「減りが早い」「すぐ熱くなる」と感じやすくなると言われています。数値だけでなく、発熱・急な電源落ち・本体の膨張といった実際の症状も合わせて、交換や買い替えの判断材料にしてください。
まとめ
夏にスマホが熱くなること自体は珍しくありませんが、対処法を間違えると結露による故障やバッテリー劣化、最悪の場合は火災事故につながるリスクがあります。熱いと感じたら、操作と充電を止めて風通しの良い場所に置く・扇風機の風を当てるといった「自然に冷ます」対処が基本で、保冷剤・冷蔵庫・水・冷凍庫を使った急冷は結露の原因になるため絶対に避けてください。車内や炎天下への放置もバッテリー劣化と事故リスクの両方を高めるため、外出時はスマホも車から持ち出す習慣をつけておくと安心です。発熱や電池の減りが改善しない、本体が膨張しているといったサインが見られる場合は、無理に使い続けずメーカーやキャリアショップに相談し、必要であれば買い替えも検討してください。
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