帰省したら家電もチェックしてみてください|実家の古い家電に潜む火災リスクのサインを電気屋が解説

家電レビュー

お盆で実家に帰ったとき、親のスマホの設定は気にしても、家電まではなかなか見ないのではないでしょうか。以前実家の親のスマホの危ない設定かんたんスマホ・らくらくスマートフォンの比較を書いたが、実は経年劣化した家電も、毎年のように火災事故の原因になっている。電気工事の現場で古い家電の焦げた配線を見てきた身としては、帰省のタイミングこそ家電もあわせてチェックしてほしいところ。今回は、公的機関の資料をもとに、実家で見てほしい家電の点検ポイントをまとめてみた。

帰省シーズンに家電の火災事故が増える理由

製品評価技術基盤機構(NITE)が2024年に出した注意喚起によると、2019年度から2023年度までの5年間に通知されたエアコンと扇風機の事故は合計403件(エアコン340件、扇風機63件)にのぼる。このうち378件、実に9割以上が火災事故だった。しかも事故は6月から8月の夏季に集中して発生しているというデータもあり、まさにこれからの季節がもっとも注意すべき時期にあたる。

さらに見逃せないのが「古さ」との関係だ。403件のうち223件(約55%)が、製造から10年以上経過した製品での事故だった。製造年数が10年を超えると、経年劣化による「製品に起因する事故」の割合が明確に高くなる傾向も示されている。実家の家電は、独立して家を出てからずっと同じものを使い続けているケースが多く、この「10年超」に該当しやすい。帰省のたびに顔を合わせる家族だからこそ、気づける変化がある。

愛情点検チェックリストで確認したいポイント

一般財団法人家電製品協会(AEHA)は「家族みんなで愛情チェック」という、家電製品別の点検チェックリストを公式サイトで公開している。日頃その家電を使っている家族本人が異常に気づきやすいという考え方で、「該当する症状が見られたら使用を中止し、購入店またはメーカーの相談窓口に連絡する」ことをすすめている。帰省中は逆に「日頃使っていない側」の目で見られるので、家族が見落としがちな変化に気づけることもある。

NITEが公表しているエアコン・扇風機それぞれの点検ポイントも具体的で分かりやすい。実家に着いたら、次のような症状がないか聞いてみたり、実際に運転させて確認してみてほしい。

家電 チェックしたいポイント
エアコン 室内機から水漏れしていないか/普段と違う異音・異臭がしないか(室内機・室外機とも)/エラー表示が出たり、運転が勝手に止まったりしないか
扇風機 スイッチを入れても羽根が回らない/コードに触れると回転が変わる/回転が異常に遅い・不規則/異音や振動がある/モーター部分が異常に熱い・焦げ臭い
冷蔵庫・洗濯機など 普段と違う異音がする、庫内や排水がおかしい、電源コードが変色・発熱しているなど、「いつもと違う」がないか

少しでも異常が見られたら、その場で使用を中止して電源プラグを抜き、購入店またはメーカーの相談窓口に点検を依頼するのが基本の対応になる。「まだ動いているから大丈夫」ではなく、「動きが少しおかしいから止める」という判断を、帰省中に家族と共有しておきたい。

「長期使用製品安全表示制度」のラベルを見てみる

実は、扇風機・換気扇・エアコン・ブラウン管テレビ・2槽式洗濯機・全自動洗濯機の6品目には、経済産業省が定める「長期使用製品安全表示制度」により、本体に「設計上の標準使用期間」と経年劣化への注意喚起を表示することが義務付けられている(2009年4月1日以降に製造・輸入された製品が対象)。実家の対象家電があれば、本体のラベルを確認してみると、あと何年くらいを目安に使うべきかの参考になる。

なお、経年劣化で重大事故を起こすおそれがある製品を対象に、メーカーから所有者へ点検時期を知らせる「長期使用製品安全点検制度」という制度も別にあるが、こちらは2021年8月の法改正で対象品目が絞られ、現在は石油給湯器・石油ふろがまのみが対象になっている。「うちは対象製品の通知が来ていないから安心」ではなく、扇風機やエアコンなど表示制度の対象品はラベルを自分の目で確認するのが確実だ。

コンセント・タコ足配線もチェック|トラッキング現象に注意

家電本体だけでなく、コンセント周りも見ておきたいポイントだ。NITEが繰り返し注意喚起している「トラッキング現象」は、プラグとコンセントの隙間にたまったホコリが湿気を吸うことで微弱な放電を繰り返し、プラグ表面が徐々に炭化して発熱、最終的に発火に至るという現象。差し込みっぱなしで動かさない家具の裏や、テレビ・冷蔵庫の裏のコンセントで特に起きやすいとされている。

実家では、テレビ台や冷蔵庫の裏など普段動かさない家具の裏のコンセントにホコリがたまっていないか、タコ足配線で許容電力を超えていないかも見ておきたい。この点は延長コード・タコ足配線の安全な使い方の記事待機電力とコンセントの発熱リスクの記事で詳しく解説しているので、あわせて確認してみてほしい。ブレーカーがよく落ちるという場合は夏にブレーカーが落ちる原因の記事も参考になる。

エアコンの試運転、してますか?|高齢の親は「我慢」しがち

帰省したらぜひやってほしいのが、実家のエアコンの試運転だ。何年も使っていなかったり、久しぶりに動かすエアコンは、内部にたまったホコリや小動物の侵入などが原因で不具合が出ることがある。使う直前ではなく、家族が実家にいるうちに一度動かして、異音やエラー表示がないか確認しておくと安心だ。

あわせて気にかけたいのが、高齢の親世代がエアコンの使用を我慢しがちな傾向だ。「電気代がもったいない」「人工的な風が苦手」といった理由で、暑い日でもエアコンを使わずに過ごしてしまうケースは珍しくない。総務省消防庁の熱中症統計では、例年、救急搬送者のうちおよそ6割前後を65歳以上の高齢者が占めており、しかも発症場所として住居内が多くを占める年が続いている。「エアコンがちゃんと動くか」の確認だけでなく、「実際に我慢せず使っているか」も、帰省中に一言声をかけておきたいポイントだ。

冷蔵庫の寿命サイン|「まだ動いてるから大丈夫」の落とし穴

冷蔵庫は家電の中でも壊れる直前までなんとなく動き続けてしまうことが多く、寿命のサインに気づきにくい製品でもある。次のような変化があれば、買い替えを検討するタイミングが近いサインといえる。

  • 設定温度を「強」にしても、以前より冷えが悪い・アイスが柔らかい
  • 「ブーン」「ガタガタ」といった運転音が、以前より大きい・鳴り止まない
  • 庫内や霜取りのはずの場所に霜がびっしりついている
  • 本体の下や裏側が濡れている(水漏れ)
  • ドアのパッキンが硬化・変色していて、ドアの閉まりが甘い

冷蔵庫は主要な長期使用製品安全表示制度の対象品目ではないが、経年劣化で電源コード部分が発熱するといった事故は他の家電と同様に起こり得る。「壊れて中身が全部だめになる前に」という実利的な理由もあるので、上記のようなサインがあれば早めの検討をおすすめしたい。

リコール対象の家電、調べてみませんか

実家で長く使っている家電の中には、リコール対象になっていることに気づかないまま使い続けているケースもある。消費者庁は各省庁がそれぞれ公表していたリコール情報を一元化した「消費者庁リコール情報サイト」を公開しており、商品名やメーカー名、カテゴリからリコール製品を検索できる。特に火災・重傷などの重大事故につながるおそれがあるリコール品は、サイトのトップ画面で優先的に案内されている。

帰省中に少し時間を作って、実家にある家電の型番やメーカー名を、家族と一緒にこのサイトで検索してみるのもよいだろう。「うちの実家の製品は大丈夫だった」と分かるだけでも安心材料になる。

買い替えの判断目安と省エネのメリット

点検した結果、異常がなくても、「そろそろ買い替えどきかどうか」を判断する目安として知っておきたいのが省エネ性能の進化だ。資源エネルギー庁によると、今どきの冷蔵庫は10年前の製品と比べて約21〜30%の省エネ、今どきの省エネタイプのエアコンは10年前の製品と比べて約14%の省エネになるという。特に冷蔵庫は24時間つけっぱなしで使う家電なので、古い製品を使い続けるほど電気代の差が積み重なりやすい。

買い替えを迷う場合は、①長期使用製品安全表示制度のラベルにある「設計上の標準使用期間」を過ぎていないか、②愛情点検チェックリストに該当する異常が出ていないか、③製造から10年前後経っていないか、の3点を目安にするとよい。古いエアコンの処分・下取りの選び方については古いエアコンの処分判断の記事で詳しく整理しているので、あわせて参考にしてほしい。

よくある質問(FAQ)

Q. 家電の点検は何を見ればいいですか?

A. まずは家電製品協会(AEHA)の「愛情点検チェックリスト」のように、異音・異臭・異常な発熱・動作の不安定さなど「いつもと違う」症状がないかを見るのが基本です。少しでも異常があれば使用を中止し、購入店またはメーカーの相談窓口に連絡してください。

Q. 実家の家電が何年前のものか分からない場合はどうすればいいですか?

A. 対象6品目(扇風機・換気扇・エアコン・ブラウン管テレビ・2槽式洗濯機・全自動洗濯機)は、2009年4月以降に製造・輸入された製品であれば本体に「設計上の標準使用期間」が表示されています。ラベルが見当たらない場合や、それ以外の家電については、型番をメーカーの公式サイトや消費者庁リコール情報サイトで調べると、おおよその製造時期が分かることがあります。

Q. まだ動いているのに買い替える必要はありますか?

A. 「動いている=安全」とは限りません。製造から10年以上経過した製品は経年劣化による事故の割合が高くなる傾向がNITEのデータで示されています。異常のサインが出ていなくても、標準使用期間を過ぎている場合は、点検や買い替えを検討する目安になります。

まとめ

お盆の帰省は、実家の家電を家族の目でまとめてチェックできる貴重な機会だ。NITEのデータでは、エアコン・扇風機の事故の9割以上が火災事故で、その半数以上が製造10年以上の製品で起きている。愛情点検チェックリストで異音・異臭・発熱などの異常サインを確認し、対象家電のラベルで標準使用期間を見て、コンセント周りのホコリやタコ足配線もあわせてチェックしておきたい。エアコンは試運転をしておくとともに、高齢の親が我慢せず使っているかも一声かけておくと安心だ。異常がなくても、リコール対象でないかを消費者庁のサイトで調べ、省エネ性能の進化も踏まえて買い替えのタイミングを検討してみてほしい。

実家お助けシリーズとして、他の記事もあわせてどうぞ。親のスマホの安全設定については実家の親のスマホ、危ない設定のままかもしれませんの記事、機種選びについてはかんたんスマホ・らくらくスマートフォンの比較記事、家の中の電気設備については延長コード・タコ足配線の記事待機電力・コンセント発熱の記事、古いエアコンの処分については古いエアコンの処分判断の記事もご覧ください。

※本記事は、製品評価技術基盤機構(NITE)の注意喚起・製品安全情報マガジン、経済産業省「長期使用製品安全点検・表示制度」、一般財団法人家電製品協会(AEHA)「家族みんなで愛情チェック」、消費者庁リコール情報サイト、資源エネルギー庁「機器の買換で省エネ節約」、総務省消防庁の熱中症に関する公表資料をもとに、2026年7月執筆時点で確認した内容です。個別の製品が対象かどうか、具体的な点検・修理の要否は、必ずメーカーまたは購入店にご確認ください。

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